上棟式・地鎮祭・竣工祭について

●上棟式(じょうとうしき)
●地鎮祭(じちんさい・とこ しずめ の まつり)
●竣工祭(しゅんこうさい)

上棟式(じょうとうしき)

通常、棟上(むねあ)げ、建前(たてまえ)などといい、建築儀礼の一つである。建造物の骨組ができ、棟木(むなぎ)をあげたときで、家屋としての形態をとる最初である。新築の家に災難がないように神に祈念し、大工を主客に祝宴を行う所が多い。沖縄多良間(たらま)島ではこの日に棟木から縄梯子(なわばしご)をつるし、天から火の神が降臨されるといい、この日まで建築現場で火を扱うことは禁じられていた。棟木をのせると初めて人間のすみかとなると信じられてきたのである。洗米、神酒(みき)、塩、扇子、半紙、鏡餅(もち)、女性の髪の毛、化粧品などを飾り、餅をまく所が多い。家の四隅からまく餅をスミモチといい、とくに大きくつくり、中に硬貨を入れたものをまくが、これを拾うと縁起がよいという所もある。屋上に飾る道具に女性に関するものが多いことは、家屋は本来、女性の管轄下にあったことを示すものであろう。

躯体が屋根構造まで達し、いわゆる棟が上がると、一般的に行われている神道式では、「へいぐし」を用意します。
「へいぐし」は上棟時に一番高いところに取り付け、その後は小屋裏部分の柱に取り付け、住まいのお守りの役目をします。
地鎮祭の時の基礎の真ん中に鎮座しているお守りと共に、地と空間(天)でお守りするのでしょうか?
上棟式についてのポイントを参考として列挙しておきます。

【上棟式を行う方への参考に (一般的な神道式)】

・時間:通常夕方4時ごろから1時間程度
・出席:大工・鳶・現場管理者・設計者等10~15名程度
・準備:米、塩小皿一山、酒、5円玉18枚(うるう年は19枚)
・儀式:頭領が準備した物を3回に分けてまき清める
・料理:乾き物(つまみ類)、寿司、煮物、唐揚げ等人数の半分程度が分量目安
・飲み物:酒(酒・ビール等)、ソフトドリンク → 運転者は除く 飲酒運転防止
・お土産:1000円程度の砂糖、鰹パック詰め合せ+酒小瓶
・お礼:5000円(一般的)~、大工さんの頭領ととび職の頭は倍とするのが一般的
・お礼の挨拶 (堅苦しい挨拶ではなく、率直に今の気持ちを話されたほうが良いでしょう)

施主はここで挨拶をします。その時のポイントはこの3つです。

(1) 危険で力仕事の大変な作業が終わったことへのねぎらい
(2) がっちりとたくましい骨組みが立ち上がって本当に喜んでいるという気持ち
(3) これからの職人さんたちの安全祈願と夢の実現への期待表明


地鎮祭(じちんさい・とこ しずめ の まつり)

地鎮祭(じちんさい・とこ しずめ の まつり)は、土木工事や建築などで工事を始める前に行う、その土地の神(氏神)を鎮め、土地を利用させてもらうことの許しを得る。これには神式と仏式がある。一般には、神を祀って工事の無事を祈る儀式と認識されており、安全祈願祭と呼ばれることもある。鎮地祭、土祭り、地祭り、地祝いとも言う。
一般には、土地の四隅に青竹を立て、その間をしめなわ注連縄で囲って祭場となし、斎主たる神職のもと、建築業者・施主の参列の上で執り行う。祭場の中には木の台(八脚台という)を並べ、その中央に神籬(ひもろぎ、大榊に御幣・木綿を付けた物で、これに神を呼ぶ)を立てて祭壇となし、酒・水・米・塩・野菜・魚等の供え物を供える。また、関西などの特定の地方によっては伊勢神宮近隣の浜から砂または塩を取り寄せ、四隅に置く場合もある。祭壇の左右に、緑・黄・赤・白・青の五色絹の幟に榊をつけた「真榊」を立てる場合もある。この五色絹は五行説における天地万物を組成している5つの要素、つまり木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという説である。

地鎮祭の流れ
一般的な地鎮祭の流れは次の通りである。

修祓(しゅばつ)
祭に先立ち、参列者・お供え物を祓い清める儀式。

降神(こうしん)
祭壇に立てた神籬に、その土地の神・地域の氏神を迎える儀式。神職が「オオ~」と声を発して降臨を告げる。

献饌(けんせん)
神に祭壇のお供え物を食べていただく儀式。酒と水の蓋を取る。

祝詞奏上(のりとそうじょう)
その土地に建物を建てることを神に告げ、以後の工事の安全を祈る旨の祝詞を奏上する。

四方祓(しほうはらい)

土地の四隅をお祓いをし、清める。

地鎮(じちん)
刈初(かりそめ)、穿初(うがちぞめ)、鍬入(くわいれ)等が行われる。設計・施工・建主に振り分ける事が多い。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)
神前に玉串を奉り拝礼する。玉串とは、榊に紙垂を付けたもの。

撤饌(てっせん)
酒と水の蓋を閉じお供え物を下げる。

昇神(しょうしん)
神籬に降りていた神をもとの御座所に送る儀式。

直会
地鎮祭の式次第が終了したら直会(なおらい)を行う。
当地でお神酒で乾杯し、お供え物の御下がりを食する。

歴史的には「生け贄を捧げる」など怖い話もありますが、いずれにしても、八百八の神の土地のお陰様で豊かな恵みと生計を立てる糧としてきた大切な土地を一部お借りする儀式だと思います。

*お施主にご用意頂くもの
a 神酒 1升
b 米 1~2合
c 塩 1合
d 海のもの
・鯛か出世魚1尾頭付とスルメ、昆布、「益々」にかけて鱒にする場合もあります。
・夏季など腐れ防止で避ける場合、スルメ、昆布などで代用する場合もあります。
e 山(野・地)のもの
・できるだけ季節のもの
根野菜(大根、人参、さつまいも等)※葉っぱ付が望ましい
野菜(カボチャ、ほうれん草)
くだもの(リンゴ、みかん、柿、梨、ぶどう等)

「地鎮祭の進行」

通常は、修祓(しゅうばつ)→降神の儀→献饌(けんせん)→祝詞奏上(のりとそうじょう)→四方祓い→鍬入れの儀→玉串奉奠(たまぐしほうてん)→撤饌(てっせん)→昇神の儀→直会(なおらい)と続きます。

*鎌入れの儀
神職から鎌を受け取り、時計回りで回し右手に持ち替えます。砂の山に3回、「エイ」の声とともに鎌を入れ草を刈る動作をし3回目に草を抜き横に置きます。

※声ははっきり元気良くが鉄則です。

*玉串奉奠(たまぐしほうてん)
玉串を祭壇に供えます。玉串は神主様から両手でお礼をしながら受け取り時計回しに回して葉側を手前(枝元を神様側)にして供えます。そして、2度礼をして、2度手拍子して、1度拝む「二礼二拍手一拝」をします。

*直会(なおらい)
お神酒を参列者全員でいただいて終了、この際、神主さんが一言お話しして「献杯(けんぱい)」と発声なさると思いますので続けて「献杯(けんぱい)!」と言います。

※「乾杯」ではありません。

Q&A「費用はどのくらい?」
*神主様へのお礼
一般的には金額を明示してくれません。
また、地域のよって相場のようなものもあります。
一般的な例で言うと2万円前後と言ったところでしょうか?

※熨斗袋の表は「御神饌料」「御初穂料」「御玉串料」と書きます。


竣工祭(しゅんこうさい)

竣功祭とも書き、「ことをえのみまつり」ともいいます。

完成した建物を祓い清めて、末永い繁栄をお祈りします。

春の初めに祈年祭を行い、豊かなみのりと国の安泰を祈り、秋には収穫に感謝し新嘗祭を行うように、建築の初めに地鎮祭を行い、その完成に際しては神様に奉告して感謝と更なる守護を祈ることが大切です。

御祭神は上棟祭と同じく、その土地の産土大神(うぶすなのおおかみ)および、屋船久久遅神(やふねくくのちのかみ)、屋船豊宇気姫神(やふねとようけひめのかみ)、手置帆負神(たおきほおいのかみ)、彦狭知神(ひこさしりのかみ)の四柱の神とを主神としてお祀りします。

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